渋谷由美子(2)2007年07月02日 09時00分09秒

今日は全てのヴァイオリニストの憧れであるクライスラーについて私なりの想いを書いてみます。

伝記を読む限りでは人間的にとても魅力的で、また純粋で、かつ子供っぽいところもあったと書いてあります。

昔からカードゲーム(ポーカー)が好きで、練習そっちのけで夢中になり、本番に遅れそうになったり、賭けで負けてしまい自分の楽器を質屋に入れたりと、かなり無茶なこともしていたようです。

とにかく練習嫌いは有名で、奥さんに怒られ、監視されながら練習したという話は、なんだかほほえましくてうれしくなってしまいます。

今回のプログラムのひとつの「ロンドンデリー」の歌は、ピアノもお得意でもあったクライスラーが、アイルランド民謡をピアノ伴奏に趣向を凝らし、かなり音の厚い編曲になっています。

クライスラーは自分でピアノを弾いたものの録音に、ヴァイオリンを弾くということもしたそうで、ハイフエッツも彼の伴奏でメンデルスゾーンのコンチェルトを、公の場所ではないのですが、弾いたことがあるそうです。

私はこの「ロンドンデリーの歌」に自分の古里のがダブってしまいます。

福岡県の炭鉱町、飯塚の出身ですが、子供のときの炭鉱の風景、田んぼ、れんげ畑に入って遊びれんげを全部潰してしまいおじさんに怒鳴られたり。

また道路に面した部屋で窓も開けっ放して練習していて、気がつくとよくヘイ越しに人が立ち止まって覗いていたこと。

世の中まだ豊かではない時代に、ヴァイオリンを習っていたことが学校で特別の存在であったことなどが、思い出すと胸が締め付けられるような光景がよみがえってきます。

しかし、今ではすべて懐かしい思い出です。

中川賢一(2)2007年07月02日 09時00分17秒

私の中では仙台のイメージは冬です。空はいつでも曇り。こう書くと非常にネガティヴな印象を与えかねませんね。でも人間が一日中スカッとした状態にいることだけがその人にとって本当に幸せなのだろうか、アートを生成することにとって有用なのだろうかとも思うことがあります。私自身、実は幼年時代は、もしかしたら無意識のうちに今も、鬱々としていることが常で、ではその状態が苦しみであると自覚していても、自分にとって本当にいやな状態なのであるかというと「?」です。その鬱々とした状態の中だからこそ、私の思っている「深い」クラシック音楽をむさぼりたいとも思うのと、そのときに私に与えるネガティブをポジティブに変えようとする内的な変化はひとつの「希望」であって「希望」があるからこそ物理的に生きる原動力となるのかなあ、と思っておりました。どうしてもある種の動物や、虫のように食っちゃ寝、食っちゃ寝という生活を苦も無くできればよいのですが、人間はどうしても感情があるために、なかなか行動が規則的に行かない側面もあり、だからこそそのいびつな溝をもしかしたら音楽のようなアートで埋めていって、どうにかこうにか精神的な均衡を保っているのではないかと思う事さえありました。これもいつも鬱々としている仙台の中にいるからこそ味わえる、不均衡さの中での均衡を感じているからこそ思うことなのですが・・・つまり私は仙台に生まれ育ってよかったということです。

どうやら仙台は日本で何番目かに日照率の少ない、また天気を予測しにくい都市らしいです。この曖昧さと予測難の不安定さは嫌いではありません。

北の鬱蒼とした音楽、ラフマニノフ、チャイコフスキー、シベリウス、グリーグ、ブラームスほか、雪、時には吹雪と退屈なまでの雲の天井を想起させる音楽は非常に自分にとっては身近です。そういったにび色の中に沸き立つ長い持続を持った暖かい感情は私にとってかけがえのないものです。

それに対して以前はフランスの音楽は憧れでした。あの軽く色彩感に溢れた世界は自分とは全く正反対のものに思えました。私の知っているパリはそれに反して、華やかな街中とは対照に、天気はなかなか曇りが多かったと記憶しております。そのやはり「グレー」の世界の中に、時々垣間見せる鮮やかな光を見出そうとしたフランス音楽が自分の中でもふつふつと身近に思えるようになってきました。私の中でのドビュッシーやラヴェルは、単に響きが美しい、綺麗というだけではなく、もやもやした人間の感情を、名人芸的なプリズムによる美化で、黒いものも、グレーのも、白いものも色彩を帯び、与えられて甘味を感じさせられます。それが、いくばくか皮肉めいたユーモアが感じられるというのも、人間の多少否定的な回路を通した快感も、どちらも単に「感じる」ということであるために、自分の体内にある自然な感情の生理に対して嘘はついていないと思うと、実はストレートに快感を得ていると思うと、これももしかしたら仙台という土地で自然と培われた感情なのかなあと思うときもあります。

せんくら事務局<せんくらチケット販売開始>2007年07月02日 15時24分20秒

昨年のせんくら終了後から心待ちにされていた皆様には、たいへんお待たせいたしました。

仙台では国際音楽コンクールの余韻さめやらぬ6月29日金曜日、午前10時にせんくらチケットの発売を迎えました。4つの会場を擁する青年文化センターには、雨の中、早朝からチケットをお求めのお客様がみえていました。イズミティ21も同様に多くのお客様にお越しいただきましたが、混み合いますとどうしてもお待たせする時間が長くなり、会場から近くのチケットぴあ取扱いコンビニまで行っていただくほうが早いときは、そちらをご案内いたしました。発売2日目の土曜日になりますと窓口の混雑も少しやわらいだようでしたが、それでもお客様は途切れず。

おかげさまで、日曜日までの3日間で、有料93公演中10公演が売り切れとなりました。

各窓口やお店にお越しになったお客様には、ご足労をおかけし、貴重なお時間をいただきました。また、初日のうちに3公演が販売終了となる盛況で、せっかく足を運ばれたのにご希望のチケットが入手できなかった皆様も多いかと思います。本当に申し訳ありません。

多くの公演が、まだまだチケット入手可能です。ご希望の公演が販売終了になっても、ぜひ公演スケジュールをもう一度お開きになってみてください。初めて名前を聞く演奏家や、曲があれば、この機会にお試しになってはいかがでしょう。多彩な公演はどれを選んでも損のないものばかりです。10月の3連休はせんくらでめいっぱいお楽しみください。

せんくら事務局
事務局長 柴田聡史