仙台フィルハーモニー管弦楽団(4)2007年07月11日 09時15分23秒


ファゴットの水野一英です。実は「せんくら」に出るのは今年が初めてです。といっても新人ではありません。仙台フィルの本拠地である青年文化センターが出来た年、つまり1990年に入団しましたので、今年で18年目です。

「せんくら」は、1回の演奏会の長さが45分ですので、小さい人でも集中できるのではと思います。それにチケット料金が、1000円というのもいいですね。

私の父は、中学校の音楽の先生でした。ですから、小さいときから自然に音楽に親しんでいました。新潟県の三条という町で大きくなったのですが、確か、小学校の4年か5年生のとき、新潟までNHK交響楽団の演奏会を聴きに行ったことを覚えています。

音楽をずっとやって生きたいというのが私の第一の目標であって、それを実現させるためのファゴットを選んだというのが、正直なところです。音楽大学を目指して、三条から東京まで月に2回レッスンに通いました。当時はまだ新幹線がありませんでしたので、特急を利用しても片道3時間40分かかりました。それでもくじけることなく、音楽の勉強に励みました。それほど音楽がすきなのです。

さて、今年の「せんくら」ですが、以前よく共演していたピアニストの仲道郁代さんと久しぶりに、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」をいっしょに演奏できるのが楽しみです。この曲の第2楽章の最後に、フルートとクラリネットそれにファゴットが、ピアノの伴奏でメロディを奏でます。是非、聴いてください。そのほか、ベートーヴェンの第九の歓喜のメロディの対旋律をファゴットが吹いています。

村上満志(4)恥ずかしながらの「昔話4」2007年07月11日 09時17分29秒

春は野に舞う蝶と戯れ、夏は声楽科の学生達と競うような牛蛙の合唱に心和ませ、秋には宍道湖に沈む夕陽にもの想い、そして冬には深々と降り積る雪を窓ごしに眺めながら、ウラッハ(ウィーンのCla奏者)の奏でる「ブラームス」を心に刻み鬱々とした青春を感じていた。そのようにして田舎の大学で何の疑いもなく、何らかの結果を求められる事もなく生活していた。

恥ずかしながら、まるで4年間がそのまま額縁に収まりそうな、文字通り青春だった。

多くの仲間は特別教科(音楽)教員養成課程のその名のとおり、教員採用試験を受け、社会へと羽撃いて行った。私もそうなることに左程の違和感は感じていなかったが、「過ごしてきた4年間を自分なりに検証したい」とも思ったし、「もう少し楽器を弾いていたい」とも思った。その結果、国立の音楽大学、つまり芸大受験という事になった。2回目の大学受験だったので親にも言えず、すでにサラリーマンをしていた兄に無心し、自らも手持ちのオーディオ機器を後輩に買ってもらうなどして、受験資金を捻出した。

しかしお金の工面よりも、勉強などの受験準備の方が大変だった。4年間は、全てを忘れる為にあったので、現役受験生同様一から覚え直しである。その上卒業の為の単位も沢山落としていたので、それを拾い集めるのもまた大変。

演奏技術の面でも、ただひたすら何の基準も持たず自己満足的練習を繰り返していたので、「自分がどんなレベルに居るのか?」という不安も大きかった。

結果的に合格したが、第三次の最終発表を見たとき、周囲で飛び上がって喜ぶ現役の受験生のようには喜べない自分が居た。合格した喜びよりも、もうこの道から逃れられないという気持ちの方が大きかった。

もし受験に失敗していれば、1年間の就職浪人を経て、それなりに熱血先生になっていたと思う。

恥ずかしながら思う。

人が生きる時、取り敢えず頑張らなければと思うが、結果は多分に「はずみ」とか「成行き」に翻弄されるようにも!!