雄倉恵子(3)「CMのピアノ名曲集前半」2007年09月11日 09時34分07秒

<シューベルト本人が使用していたピアノ>


本日からは実際に弾かせていただく各曲についてです。

「CMのピアノ名曲集」の前半は次の各曲です。

イタリア協奏曲第1楽章~セブンイレブンおでん
ベートーヴェン エリーゼのために~ツーカーフォン
シューベルト 楽興の時第3番~ヤマト運輸クール宅急便
ショパン 幻想即興曲~カプコンクロックタワー
ショパン プレリュード第7番~太田胃散
ショパン 子犬のワルツ~JA福岡博多万博ネギ

バッハのイタリア協奏曲は初心者でもよくレッスンで弾かされますが、大家のリサイタルでも取り上げられる、間口の広い曲です。

バッハの鍵盤作品は、作曲の訓練のための練習曲でもあり、複数の声部
がからむポリフォニック音楽です。それをきちんと弾き分けるのはなかなか大変で、仲間内では「えっ!本当に人前でイタリアンコンチェルト弾くの?」などと言われることもある作品です。残響の少な目のホールで各メロディーラインのからみをお聴きいただくのはお客様には楽しいでしょうけれどもね。

ベートーヴェンの「エリーゼのために」はバガテルというベートーヴェンが随分書き残した小品のジャンルの中の1曲です。ピアノソナタが小説としたら、バガテルはエッセイのようなもので、私は正直に言えばバガテルのほうが好きかもしれません。

ベートーヴェンに対してモーツァルトのほうが天才のイメージにぴったり来そうですが、「エリーゼのために」をはじめバガテルを弾いているとベートー
ヴェンもいかに天才かが手に取るようによく分かります。

シューベルトの「楽興の時」もベートーヴェンのバガテルに近い自由な形式の小品です。私はシューベルトは本格的なソナタのほうが好きですが、この楽興の時3番ももちろん名曲です。

なお、本日掲載されている写真はシューベルトさんご本人がお使いになっていたピアノです。

ショパンの3曲は、それこそ「せんくら」らしくお馴染みのものばかり。特にプレリュードは、ショパンのプレリュードというより、日本では「あの太田胃散の」といったほうが通りがいいかもしれません。CMとクラシック曲というこ
とで言えば、そのイメージが最も強烈なものだと思います。現在でもそうかはちょっと分かりませんが、ある程度のご年配の方にとっては確実にそうでしょう。

仲道郁代(3)2007年09月11日 09時36分24秒

最近郁代さんがはまっていること、それは「和の世界」です。
中でも「お茶の世界」には、毎月1回のお稽古をかかさず続け、すっかり魅了されているようです。

「お茶」のお稽古、郁代さんは昨年10月から通い始めました。
昨年の秋から今年の秋までを「デビュー20周年」と位置づけ、昨年10月に行った大阪ザ・シンフォニーホールでのリサイタルを皮切りに、11月5日には紀尾井ホールでベートーヴェンの超大曲「ハンマークラヴィーア」を含む「オール・ベートーヴェン・プログラム」のリサイタルを予定していましたので、突然郁代さんが「私、お茶のお稽古に行くことにしたの」という言葉に、すぐさま「えっ、でも、この時期じゃなくても!」と反対。

思えば、私は郁代さんに何でも反対するマネージャーです。「車の免許を取りたい」という郁代さんにも反対し続け、同僚に「仲道さんは、取ると決めたら取る人ですから、これからは彼女にいかに安全に運転してもらうかを考えましょう」となだめられたこともありました。今では車のない郁代さんは考えられないほどで、来週はなんと車の専門誌の取材を受けることになっていますし、私もコンサートの帰りなど助手席に乗せていただいたり・・・。感謝しています。。。

そして当初は反対していた「お茶」ですが、先日TVの取材でお稽古風景を撮影いただくことになり、私もその魅力、奥の深さに、少しだけ触れることができました。

まず感じたのは、何よりも「お茶の世界」は「心づくし」の積み重ねだということ。お稽古の時から、季節のお花、季節のお菓子、その時々に応じたお道具を準備なさいます。そのご準備も、何日も場合によっては何ヶ月も前からお考えになって、心を尽くされるそう・・・。

そして、「お茶の世界」は敷居が高い、とかたくなに信じていた私をホッとさせてくれたのが、お茶のお道具のひとつに、会によっては洋の世界で使われるナプキンリングを使うこともあるのよ、という先生のお話。もちろん由緒正しいお道具も、高価なお道具も使われるのでしょうが、何か思い入れのある品々をお道具として使う、そしてその理由をお客様に披露し心と心のやりとりをする・・・そんな、深く広くあたたかく世界。本当に素晴らしいですね。

ドタバタと過ごしている毎日。明日の準備どころか、1時間後の準備をしている日々・・・。

いつもぐちゃぐちゃのデスクですが、お花でも活けてみましょうか。
書類の山が崩れて水がこぼれると大変ですから、小さなグリーンにしましょう!

郁代さんが「お茶」のお稽古をしている様子は、次の番組でご覧いただけます。

「輝きの法則」 仲道郁代篇
2007年9月26日(水)22:48~22:54放送予定 TV東京系全国6局ネット
http://www.tv-tokyo.co.jp/kagayaki/

そして珍しい郁代さんの着物姿は、9月25日発売の「クロワッサン」“着物の世界”も、あわせてご覧ください。

ジャパン・アーツ 寺沢光子