せんくら街に出る2007年10月13日 18時29分32秒

昨年のせんくらの反省点としての指摘の中に、①もっと県外からの集客をはかるべき ②お祭りとしてさらなる盛り上がりが欲しい、という二項目があります。

最初の「県外からの集客」については、一回目の実績をふまえ、PRにも様々な取り組みを行いました。アンケートの集計を終えないとはっきりしませんが、少しく手応えを感じています。来年は仙台・宮城に多くの観光客に来ていただくディスティネーション・キャンペーンの年でもあります。さらに工夫を重ねたいと考えています。

二つ目の「お祭りとしての盛り上がり」については昨年に引き続き地下鉄コンサートが行われたほか、商店街とジョイントしてのコンサートやグルメdeせんくらなど“せんくら街に出る”企画を実施し、せんくらにお見えになったみなさんに、仙台の街を回遊していただき、ホールにとどまらない、街のフェスティバルへの脱皮をトライしてみました。それはせんくらに集ったアーティストと観客そしてボランティアのみなさんたちがつくり出す熱いエネルギーが街に伝わり、ひいては音楽と街が共鳴し、音楽がまちづくりのひとつのキーワード役を果たすことはできないか、という試みでもあります。

すでにブログやアンケートでもいただいていますが、ご意見・ご感想をこの“成長するせんくら”にお寄せください。せんくらは様々な分野の数多くの方々に支えられて、ようやく実現する催しです。
関係者のみなさまに心からのお礼を申し上げます。

大澤隆夫
(仙台クラシックフェスティバル運営委員長・仙台市市民文化事業団副理事長)

“《せんくら》ビフォー&アフター”2007年10月12日 12時00分07秒


《せんくら》を行う前には気がつかず、行ってみてはじめてわかったことが多くある。
ヘーゲル流に言えば「量は質を変える」ということかもしれません。

第1に聴衆についてですが、コンサートの梯子をする人が多く20も渡り歩くつわものも現れました。それでも3日間でせいぜい20が限界で101あるコンサート全体の5分の1というところです。どんなに効率良くまわっても聴けないコンサートの数が倍以上あることになります。そこで「これもあれも聴いた」でなく「これもあれも聴けなかった」という反応となり、他の気になるコンサートについて知り合いにどんなコンサートであったのか片端からたずねてみたくなる。その感想が人によってまちまちなものだから余計に気になってしまう。リサーチという大げさなことでなくとも「・・・はどうだった?」「私のほうは・・・だったわ」などと訊ね合う会話を各所で聞きました。ということは、《せんくら》は、批評家にとっても、コンサート・フリークにとってもすさまじい飢餓感を感じるイベントなのです。この飢餓感が、次の《せんくら》に足を運ぶエネルギーとなっているのではないでしょうか。

第2に演奏家サイドのことですが、“どこかで聴いたクラシック”というコンセプトはなかなか曲者でありまして、演奏家に新たな試練を課すことになっているようです。一種のコンクールの様に演奏家は意識するようです。音楽的テーマ設定の音楽祭と決定的に異なるところでもあります。プログラムの創り方にもよりますが、CDなどで散々流れている曲を弾かなくてはならない、聴衆と音楽家の関係が、従来のそれと違って聴衆の方が音楽家より優位な中で行われる。この関係の逆転は音楽家にとってコンクールのように感じる理由のようです。皆が聴いている曲をどう演奏するかは意外につらい課題で《せんくら》に招聘されたアーティスト同士のライバル心にどこか火がついているようにも見えます。こうしたアーティスト側の気持ちは、聴衆の期待感と交錯して《せんくら》独特の緊張感を生み出しているようにみえました。

第3は、主催者としてのことですが、地下鉄沿線といっても会場がこれほど多く分散して同時に行われる事業は他にありません。ホール・アテンダント能力が試されることになり、ここにも小さな競争があります。部・課長がいない中で、会場毎に自立化せざるを得ないわけです。担当者の負荷は半端でないと思いますが、走っているスタッフがいないと御喜さんにお褒めをいただいたように、ボランティアを含めスタッフの能力が確実についていることを確認できたことは嬉しいことでした。

この事業はまた今後の文化政策の新しい方向を占う意味でも重要です。つまり、これまでの「芸術文化の振興」に加え、「都市づくりに文化をどう活かせるか?」という視点です。今回行った「街中コンサート」や、「地下鉄駅コンサート」などの試みは、街中に音楽を溢れさせるという《せんくら》ねらいを表現するとともに、その認知度を高めることに大いに役立ったように思います。
しかし《せんくら》の「交流人口の拡大を目指す」というもうひとつの目的に対して結果は、圏外からのお客様より圧倒的に市内の集客が主でした。このことを改善しなければならない課題と考えるか否か私としては迷うところです。何よりもまず市民が楽しむ、それが本来的な祭りでないのか?そのことを積み重ねて何時かしら評判となり、共に楽しみたいと遠来のお客様も拡大していくというような長い目で考えてみることも大切なのではないかと思った次第です。

スタッフ・ボランティアの皆様お疲れ様でした。

志賀野桂一
(仙台市スポーツ文化部長、仙台クラシックフェスティバル運営副委員長)

ありがとうございました。2007年10月11日 14時36分51秒

せんくらにご来場くださいました皆様、ご出演くださいました皆様、誠にありがとうございました。
そしてボランティアの皆さん、たいへんお疲れ様でした。

出演者の方々は、45分の演奏のために、何倍もの時間をかけて準備してくださいました。

少し早めに来日したピアノのタン・シヤオタンさんは、朝9:00から夜10:00まで、食事は15分で済ませて練習していました。7日、朝1と最終公演に出演してくださった花房晴美さんは、その間ほとんどの時間をピアノのある楽屋で過ごされていました。他の皆様も同様です。

表方運営のボランティアの皆さんは、一同が会する3回の研修会、会場下見の他、運営の中心的役割を担っていた仙台国際音楽コンクールボランティア委員の皆さんによる、昨年の運営の検証から始まった打ち合わせは10回以上。
仙台国際音楽コンクール運営でのノウハウはしっかりあるとはいっても、全く異なる催しです。お客様が快適にコンサートを楽しめるよういいかげんな対応はできないと、開催内容の情報収集はもちろん、どんな疑問でも解決をはかり、本番に臨む様子には頭の下がる思いでした。

せんくらは本当にたくさんの力で成り立っています。
それぞれがそれぞれの役割をしっかりこなしてこそ、あの3日間が出来上がることを痛感しています。

来年のせんくらも、皆の力を合わせて、お客様が楽しんでくださることはもちろん、出演者、ボランティアの皆さん、そしてスタッフもより楽しめるフェスティバルになることを願います。

せんくら事務局 丹野裕子

プロデューサー・ノート せんくら関連ブログ追加2007年10月10日 10時52分34秒

前回、アーティストの方が書いてくださった今回のせんくらについてのブログアドレスをいくつかご紹介しましたが、ご来場くださったプロのライターの方々のブログも出始めました。

LINDEN日記
(音楽ジャーナリスト林田直樹が書き綴る日々の雑感です。)
http://linden.weblogs.jp/blog/
これは業界人はよく読んでいるブログです。音楽の友、レコード芸術の編集というメインストリームを歩んでこられた林田さんですが、視野が広く、話題は多彩です。そして底流として音楽への愛情がいつも感じられます。昨年、今年と2年連続ご覧いただました。

山尾好奇堂
(クラシック音楽系ライターの山尾敦史がオススメを紹介したりネタ(情報)を発信していますが、当店はクラシック専門店ではなく雑貨店のつもりで、まったりやっています。)
http://yamaonosuke.blogzine.jp/honke/
その名の通り、山尾さんの好奇心のおもむくまま、多彩な話題が展開されている、これも著名ブログ。今回のせんくらはびっしり三日間ごらんいただき、詳細なレポートを書いていただきました。今年の様子を詳しく知りたい方はこれをお読みいただくのが一番かもしれません。

その他、フルートの荒川洋さんのBBShttp://hiroshiarakawa.com/
でも話題にしていただいています。

昔はあるコンサートなりイベントの後は新聞や雑誌にどう取り上げていただけるか、というのが楽しみでしたが、今はより早く多様な形でネットで反応が見えますね。

あれこれご覧いただいてお楽しみいただければ、と思います。

せんくらプロデューサー 平井洋

せんくら、この1曲!2007年10月10日 10時46分59秒

*写真はサイン会の福田進一さん、長谷川陽子さん

こんにちは、プロデューサー・アシスタントの壇です。
せんくら2007にお越しいただいたお客様、お楽しみいただけたでしょうか?
きっとどのコンサートを見た方もみなさんそれぞれにお楽しみいただけたことと思います。手前味噌になりますが、私が業務の合間に覗いた公演はどれも捨て公演なしの、素晴らしい公演ばかりでした。
色々な業務を行ないながらでしたので、45分のコンサートを全部聞けることはほとんどありませんでしたが、聞いた中でも特に印象に残った1曲を取り上げて、コメントしてみたいと思います。

10月6日(1日目) 青年文化センター
<公演番号3 米良美一>
ヨイトマケの唄
この曲を歌う前にトークが10分以上ありましたが、まるで講演会を聞いているかのようでした。
小さいときに生死の狭間をさまよったこと、いじめにあったこと、「もののけ姫」で時代の寵児になり天狗になったこと、どんどん欲深くなりついにはどん底まで落ちたこと、しかし色んな人との出会いの中で本当の自分の生き方、歌う理由を見つけたこと、など。
とても胸を打つトーク、人生論で、鼻をすする音がところどころで聞こえたり、ハンカチを顔にあてている人がいて、泣いている人が何人もいました。
もちろん続いて歌われたヨイトマケの唄も、大変力のこもった熱唱でした。

<公演番号4 中鉢聡>
プッチーニ:「トスカ」星は光りぬ
たった1曲のアリアなのに、まるでオペラの一場面を見ているかのようでした。
自分の死の前に、愛する女性トスカのことを想いながら歌う悲しいアリアなのですが、力強い歌声と壮絶で胸を打つ表現が素晴らしく、男の僕も中鉢さんに惚れてしまいそうでした。(最後はウソ)

<公演番号9 波多野睦美、つのだたかし>
サリーガーデン
曲名を知らなくても、誰でも一度は聞いたことがあると思います。日本語で「柳の庭」という意味だそうです。波多野さんはその素敵な歌声ばかりでなく、毎回、歌う曲の歌詞をすごく素敵に解説していただきました。
簡単にいうと恋人に去られてしまった男の失恋の歌です。この曲のタイトルとメロディを聞くと、僕は色んなイメージが膨らみます。空想癖とでもいうのでしょうか?
皆さんはそういう経験はありませんか?

<公演番号11 御喜美江&池上英樹>
モーツァルト:3つのコントルダンスより
アコーディオンとマリンバ、実際聞いてみてすごく素敵な組み合わせでした。天から降る雨粒のようなマリンバの音と、アコーディオンの優しい響きが何とも言えない調和を醸し出していました。
デュオなのにデュオでないような、夫婦でないのに一人の人間というのでしょうか?変な例えですいません(苦笑)、まるで「合わせている」という感じのしない、これ以上ないデュオの演奏でした。

<公演番号19 佐々木真史>
コダーイ:セレナード 2つのヴァイオリンとヴィオラのための
本当に公演のタイトル通り(笑)、渋いヴィオラの響きを堪能できる公演でした。
また佐々木さんのお話が大変フレンドリーで、ヴィオラ奏者が隣りでいつも目立っているヴァイオリン奏者を日頃どう思っているのか、奥ゆかしくも屈折したヴィオラ奏者の脳内を垣間見ることができました。


10月7日(2日目) イズミティ21
<公演番号73 藤原真理>
グリーグ:チェロ・ソナタ
チェロの音には、イズミティ21の小ホールはちょうど良く合っていると思いました。チェロの豊かな音色とホールの響き、グリーグのロマンティックな和音が何ともいえない素晴らしいバランスでした。
後で聞くところによると、真理さんも大変このホールがお気に入りになったそうです。

<公演番号75 早川りさこ>
エストレリータとサン=サーンス:ファンタジー
2曲を対比します。エストレリータはポピュラーソングといえる程有名なメロディで、ハイフェッツがヴァイオリンとピアノのために編曲したものを、ピアノの代わりにハープで演奏。とてもお洒落な和音を使ったアレンジなのですが、ハープで演奏するには2分半の演奏中でなんと110回も(!)ペダルを踏むのだそうです。
簡単に説明すると、ハープはその構造上、半音階(ピアノでいう黒鍵)を出すのに半音上げるペダルと下げるペダルを使いこなさなくてはなりません。ペダルはハープの底面にドからシまで7種あり、例えばドの半音上げるペダルを入れると、ハープのドの音の弦は全て半音上げるということです。
早川さんがどうしてこの曲を取り上げたのか、その理由はハイフェッツの素晴らしいアレンジをハープで再現するのは大変な勇気がいることだから、と。なんと男前な発言!
もちろん演奏は完璧!・・・だったと思います、というかそれくらい結構アバンギャルドな和音なんですよー、ほんとに。
一転して、サン=サーンスのファンタジーではハープらしさを生かしたアレンジが随所に出てきて、ハープらしい見た目の優雅さもあり、またメロディも美しくかつ分かりやすく、それぞれの楽器の長所が生かされた佳曲でした。

<公演番号77 山下洋輔&山形交響楽団>
ラプソディ・イン・ブルー
私が見た公演で一番の盛り上がり。
山下洋輔さんはさすがの貫禄。20数分の間にさまざまなメロディが紡がれては弾け飛び、ジャズのリズムの聖典のような演奏でした。
山響の演奏を聞くのは初めてでしたが、オケならではの豊かな響きを、しかしどっしりとした重さは全くなく、ジャズ特有の軽さで聞かせてくれました。
舞台裏ネタですが、実はこの曲、山下さんとオケは本番当日朝の40分で合わせただけなのです。指揮の飯森範親さんの手腕に拍手!
期待値の高い公演でしたが、期待値を大きく超える大変な名演で、お客様もスタンディング・オベーション!!!

<課外授業>
2日目の夜、偶然にもチェロの長谷川陽子さんご家族と某音楽事務所のスタッフと飲むことに。
長谷川さんは、演奏家の友人たちに「せんくら出るんだ、いいなー。どんな感じなの?」と言われて「いいでしょー」と自慢したそうです。何かすっごく嬉しくないですか?
せんくらは通常のクラシックのコンサートではない「クラシック・フェスティバル」なので、演奏家の皆様には様々なご不便をおかけしています。GPが短い、楽屋の使用時間が限られている、ホールに入って楽屋まで来るのもアテンドなしの自力とか、ケータリングも水だけ等々。
それもこれも
「すべては1,000円で最高の演奏を聴いて頂くため」
です。
昨年に引き続いてご出演の長谷川さんから先のような発言が出るとは、フェスティバルの趣旨を深くご理解頂いているのだと、大変感謝感激雨霰。
ピアノの花房晴美さんも朝10:45の本番からその日の夜の最後の本番まであることろを、「学生に戻ったみたいで新鮮だわー」と、おもしろがって下さいました。
せんくらはこういうご理解なくては成立しないのです。この場をお借りして出演者の皆様、所属マネジメント会社の皆様に深く御礼申し上げますm(_ _)m


10月8日(3日目)
<公演番号79 山下洋輔>
なんとオーボエの茂木大輔さんが飛び入り! お客様もスタッフもびっくり&大喜び。来年は是非正式なご出演をお願いします(と、アシスタントのくせに勝手に思ってます)。

<公演番号90 アミーチ・クヮルテット>
ハイドン:「蛙」より フィナーレ
変わったタイトルですね。プログラムのメインはベートーヴェンの「ラズモフスキー」。やっぱり弦カル、これぞクラシック!という感じの響きと演奏でした。
チェロの原田さんが「せんくらポッドキャスト」で、
「クヮルテットというのは4人の関係が音楽的にも生活的にも濃密すぎて、逆にマンネリ化してしまう危険性がある。でもしょっちゅうメンバーチェンジしてはクヮルテットの醍醐味がでてこない。このアミーチ・クヮルテットでは常にフレッシュな演奏がしたい。」
という意味のことを言ってます。この度の演奏を聞いて納得。演奏やアンサンブルはきっちり計算されているのに、メンバーがそれぞれ生き生きと楽しそうに演奏しているのが見て聞いてわかりました。
「蛙」はハイドンらしいリズミックで楽しい曲で、そんなアンサンブルにぴったり。トークで原田さんがなぜこの曲を選んだのかというと、4人のメンバーが今回の演奏のために世界各地から集まって、今日「帰る」からだそうです。
なんだい、ダジャレかよ!って思いましたね(笑)。

<公演番号99 菅英三子>
ヴェルディ:ああ、そは彼の人か~花から花へ
仙台ご出身のソプラノでチケットは即完売、客席もパッツパツでした。
菅さんの歌は初めて聞きましたが、軽やかで涼しげな声と上品な表現がとても好みでした。ブラーヴァ!!

<公演番号101 仙台フィルハーモニー管弦楽団、他>
ベートーヴェン:第九 第4楽章
ついにフィナーレ。感無量です。
第九の第4楽章だけ聞くというのは初めての経験ですが、1コマ45分なので当然こうなりますよねー。
第1楽章から通して聞かず、最終楽章だけ聞いても素晴らしいというのは本当に名曲なんだと思います。
でも、もちろん1楽章から最後まで70分くらい頑張って通して聞いた方が感動も大きいですよ、途中寝てても(笑)。ご興味を持たれた皆さん、是非今年の年末は第九のコンサートに足を運んでみてはいかがでしょうか?
指揮の山下一史さん、ソリストの皆様、仙台フィル・せんくら合唱団の皆様もお疲れ様でした!


最後にこの場をお借りして、せんくら2007関係各社の皆様に厚く御礼申し上げます。
本当にお疲れ様&ありがとうございました。

壇 一秀(プロデューサー・アシスタント)