佐々木真史(2)2007年08月06日 08時38分17秒

メインに演奏しますのは、コダーイの2つのヴァイオリンとヴィオラの為のセレナーデです。

ゾルターン・コダーイ(1882-1967)はハンガリーの作曲家で、バルトークと共に、ハンガリーの民謡を採集し、自由に取り入れる事でハンガリー色豊かな作品を生み出した事で知られています。ヴィオラ奏者でもあった彼の作品は、ヴィオラパートの充実ぶりが目立ちます。代表作のオペラ「ハーリ・ヤーノシュ」の中では、ヴィオラが1人っきりで数小節弾く箇所があるんですよ。以前東京でこの「ハーリ・ヤーノシュ」の組曲版を演奏したことがあるのですが、それはもうドキドキものでした。全くのヴィオラソロで始まる曲が1つありまして、何とその1つ前の曲は管楽器だけで演奏されるのです。ですからヴィオラのトップ奏者は音も出せずに、じっとその曲を聴きながら待っていなくてはならず(まだ演奏している方が楽なのです)、その時の緊張感といったら本当に忘れられません。

そもそも「ハーリ・ヤーノシュ」とは主人公のハーリが世界を旅してまわる楽しい物語なのですが、そのヴィオラが1人で弾くメロディーは主人公のハーリが異国で故郷ハンガリーを想って歌う曲なんですね。とても切なく、味わいのあるメロディーなんです。ヴィオラのソロが終わると他の皆も入ってきて、ハンガリーの民族楽器、ツィンバロンも登場します。この楽器が胸をつくような、哀愁のある音色を出すんです。興味を持たれた方は是非CDで聴いてみてください。いつか仙台フィルでも演奏できたらいいなと思います。

次回は2つのヴァイオリンとヴィオラの為のセレナーデについてお話したいと思います。