佐々木真史(3)2007年08月07日 10時54分26秒

コダーイ作曲「2つのヴァイオリンとヴィオラの為のセレナーデ 作品12」

コダーイは主な室内楽作品を若いときに作曲しているのですが、1920年に完成されたこのセレナーデは、その室内楽時代の最高傑作とされています。

3つの楽章から出来ています。

第1楽章はタカタン タカタンという生き生きしたヴィオラのリズムにのって楽しげな音楽が繰り広げられます。

第2楽章はまさに夜の音楽。セカンドヴァイオリンは殆どの部分でトレモロを演奏し、夜のしじまを表します。その中でファーストヴァイオリンとヴィオラは、様々な表情を持って、歌い交わします。聴き所です。

第3楽章は激しくテンポが変動する躍動的な踊りの音楽です。コダーイ研究の第1人者、ラースロー・エウセは、このセレナーデに内在する物語を次のように解説しているので、紹介しておきます。

第1楽章=女性のたたずむ窓辺で、3人の音楽家の奏でるセレナーデが聴こえてくる。やがて恋人の歌声が聴こえ、セレナーデと歌声は時に重なり、時に離れる。第2楽章=夜、彼(ヴィオラ)と彼女(ファーストヴァイオリン)の対話が始まる。彼の懇願に彼女は微笑とはにかみで答える。それは次第に激しい拒絶に変わってゆくが、再び彼女は頑なな心を柔らげ、今度は彼が微笑で応える。第3楽章=彼と彼女の心がしっかり通じ合い、2人の楽しげな語らいは、やがて愛の歓びの歌に変わり、活発な踊りとともに終わる―。

次回は今回セカンドヴァイオリンで共演してくれる宮崎博君に登場してもらいます。彼とは、彼がまだ学生だった頃からの長い付き合いです。とっても良い感性を持ったヴァイオリニストで大好きです。

お楽しみに。