ベルリン・フィルハーモニー・ホール2007年04月29日 07時34分39秒

これは、ベルリン・フィルハーモニーの小ホールであるカンマー・ムジーク・ザールの写真です。すり鉢型で底の部分にステージがあり、周りをぐるりと客席が取り囲んでいます。ですから、半分の方は舞台の後ろ側から演奏者を見ることになります。

ご覧のようにピアノだと半分の方は反響板の後ろから音を聴くことになります。この写真は内田光子さんの本番時の私の座席から撮ったものですが、もっと左の席の方は反響板に隠れて演奏者の顔も見えなくなります。

日本人より自己主張の激しいとされるドイツ人はじめヨーロッパのお客様がよくだまっていると思いますが、顔が見えない席でも、他の席と同じようなチケット代を払って意外とおとなしく聴いておられます。

後ろの席だと、音は当然、直接音が少ない耳慣れない音なので、最初は一瞬とまどいますが、5分もしないうちに慣れてしまいます。「内田さんはフォルテを弾く時はかなり左足を広げて踏ん張るなあ。」とか、普段は気づかないことも見ることができたりして、新鮮でした。

ベルリン・フィルハーモニー・ホールは大ホールもこんな感じで、指揮者がセンターに近いところにいて、日本のサントリーホールがそれに近いですが、それよりも後ろ側の客数が多いです。大ホールはオーケストラが多いですから、後ろだと何と言っても指揮者の顔や指示が良く見えるのが魅力で、切符も良く売れます。

このように、世界の各ホールはそれぞれ色々な個性がありますし、音なども慣れますから、多少の好き嫌いはあっても、その個性を楽しんでしまうのが得だと思います。

「せんくら」は色々なホールが使われるのが特徴です。特に面白いと思うのが、メディアテークのオープンスクエアと青年文化センターのシアターホールです。メディアテークはコンサートホールとははっきり違う空間ですから、それを味方にしてしまうセンスが演奏家に求められます。

シアターホールは文字通り劇場的な残響の少ない音なので、演奏家がどう弾いているかが手に取るようによく分かります。少なくともお客さんにとって、特にバッハとか対位法的な音楽には楽しめると思います。

せんくらプロデューサー 平井洋