クラシックから映画音楽2007年05月07日 10時14分29秒

映画音楽に馴染んでから、クラシックのオーケストラ曲を聴く楽しみがそれに近いことを知ったのですが、ロマン派以降の多彩な音楽を聴き進むにつれ、映画音楽の作曲家も少し気になるようになりました。

クラシックの有名作曲家たちも映画音楽を残しています。プロコフィエフなどを除くと、20世紀前半までは、それほど有名な作品は聞きませんが、映画の発展に伴い、バーンスタインや伊福部昭、武満徹など、シリアスな音楽で成功した多くの作曲家が映画にも数多くの作品を提供しています。

クラシック音楽がそのまま映画音楽として使われている例も、それだけでコンサートが成り立つほどたくさんあります。今年没後50年を迎えるシベリウスの「フィンランディア」も「ダイ・ハード2」のクライマックスを盛り上げますし、ビスコンティの「ベニスに死す」ではマーラーの「アダージェット」が主人公の憧れを繰り返し語ります。

ハリウッドの巨匠たちも、緊迫感の「ジョーズ」、勇壮な「スター・ウォーズ」から「ハリーポッター」シリーズまでオーケストラの魅力をフルに生かして画面を一回り大きく感じさせるジョン・ウィリアムズ、「猿の惑星」(旧作)では打楽器などで乾いた響きを聞かせ、「エイリアン」では繊細なサウンドで宇宙の広がりを表現したジェリー・ゴールドスミスなど、クラシック音楽の世界で発展した様々な技法をこれでもかと注ぎ込んでいます。フランスのモーリス・ジャールも、「アラビアのロレンス」、「ブリキの太鼓」など民族音楽の要素も入れながら感動的な場面を演出していました。

映画館に足を運ばれるときは、ラストのクレジットで音楽担当の名前を探しながら、テーマ曲をゆっくり(最近は諸事情から、長めになる傾向があるようです。)楽しんで、帰途に着かれるのは、いかがでしょう。

柴田聡史
(仙台市市民文化事業団)