波多野睦美(6)2007年06月22日 09時34分21秒

リアルタイムというのは、スリリングなものだ。

私は日頃、300、400年前の曲を主に歌ってるので、
その曲を作った人や詩を書いた人と直接に会うことはない。
現代の作曲家や詩人の方々のものを演奏する機会(それもご本人を目の前にしながら)、これは本当に緊張します。

現に谷川俊太郎さんの隣で武満を歌った時、まんまとその緊張につかまり、間違えました。
歌詞を。

「3月のうた」(曲:武満徹/詩:谷川俊太郎)は、石川セリさんの歌で知って以来、リュートでよく歌わせていただく曲。
イギリスやドイツでは、いつもアンコールで歌ったが、どこで演奏しても
例外なくお客様に届いていく、強い曲だ。

 わたしは花を捨てて行く 
 ものみな芽吹く三月に
 わたしは道を捨てて行く 
 子等のかけだす三月に
 ・・・(以下略)

何かから離れることと、“三月”という季節は、日本人の心の中ですんなりと向き合う。
ある友人は、“サンガツ”という発音されただけで涙腺をヤラレてしまう、と言っていた。

季節がはっきりと設定されているにもかかわらず、一年中いつ歌っても
この曲は本当に強い。

静かに、強く、
聴く人を、別れと旅立ちの季節に連れていく。

コメント

_ 雲 ― 2007年06月22日 22時38分04秒

11日に95歳の養母が急逝しました。最後まで自宅で、ドクターと親族に見守られて旅立ちました。「三月のうた」、ぜひ聴いてみたいです。

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