藤原真理(3) ― 2007年07月24日 09時08分15秒
演奏をする場所も楽器の一部です。音楽専用に建てられたもの、そうでないもの、あるいは又、部屋の1室であったり、ロビーであったりと、近頃は大小にかかわらず、さまざまな場所で生演奏が行われるようになってきているようです。嬉しいことですね。
音響、音の響き具合はどうか。良い面、悪い面と、やはりさまざまな有り様です。我儘勝手、独断で言わせていただくと、ほとんどすべての好条件がそろっているというのは稀です。何の作品が、どのような編成で演奏されるかによって、聞こえ方が違ってもくるのです。ピアノのソロなら良いけれど、弦楽器は少し残響が足りなめで乾いた演奏に聞こえるとか。弦楽合奏はよいけれど、オーケストラの規模になると音がワンワンするとか。残響があるのはよいが、客席の場所によって不明瞭になりすぎるとか。
私はチェロなので、残響が少なくて音が予想している時間残らない場所は苦手といえます。響かないと分かっている場所に出かける時は腹をくくっていきますし、自主公演はそのようなところでは行いません。理由は明白。音の持続に力と神経を大半使ってしまうようでは、表現の工夫どころではなくなるからです。といって聞こえるからよい、響けばよいというわけでもない。お風呂場的な響き方は困りますね。何をどう調節しても明瞭に音楽の動きが伝わらないためです。また、さらに、演奏者から客席に音が通っていって、その返りが舞台にいる私たちにある程度返ってこないと、手ごたえを実感しにくいために余計な消耗をします。客席では十分、音量も音質も楽しめるといわれても、奏者のほうは頭を切り替えないといけません。のれんに腕押しという感じになるのです。
初めて伺う場所では期待と不安いりまじり、「さあて、どうかな」と腕まくりしながらリハーサルにのぞみます。
コメント
_ snow ― 2007年07月24日 22時56分06秒
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